それは突然の誘いだった。ある友人が、是非一緒に参加しようと・・・。 私は、100キロウォークの事は風の噂で聞いてはいたが、まさか自分が誘われるとは思いもよらなかった。 歩くだけだし、リタイアもできるし、それなら一度挑戦してみるかという甘く単純な考えで友人の誘いをOKした。 |
参加登録費7000円を支払うと、説明書が郵送されてきた。そこにはこんな案内文が書かれていた。 「マメが潰れ、爪が剥がれても決して威張っちゃいけません。完歩を確信したときに込み上げてくる涙はどうぞそのままで。そんな何気ない100キロウォークです。よろしかったらどうぞ。」 内容は27時間の制限時間内に100キロを歩くということだった。 コースは行橋〜中津(35キロ)・宇佐(60キロ)・日出(85キロ)の三ヶ所のチェックポイントを通過して別府まで。 コースはあまりピンとはこなかったが、とにかく歩けばいいんだろうという気持ちだった。 |
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スタート準備を終え、配られた完歩の手引きを読んでいると、 「100キロウォークは通常の健康ウォークとはまったく違う。50キロの2倍ではない。体の変化も起きる。 だから、シューズや靴下、Tシャツや防寒着などの選択で大いに差がでてくる。雨の場合もある。 夜間の冷え込みも堪える。そして完歩に一番大切なことは、自分の気持ちの持ち様である。 健闘を祈る! そして 完歩の必要条件は @信念 A練習と準備 」 と書かれてあった。 |
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結局私は6時間24分かかり35キロ地点、第一チェックポイントの中津駅に到着。 |
あとはとにかく歩くだけ。 ゴールまでの時間を考えると心が潰れてしまうので、5キロ地点毎の表示を楽しみにして歩いていた。 ・・・そして・・・やっと50キロ。半分。ここまで10時間。セブンイレブンで15分休憩。 周りの人たちもかなり苦労している。リタイアの話も出ている様子。丁寧に足のケアをして、出発。 この地点から道端で休憩(リタイア?)している人をよく見るようになる。ほとんどの人が足をケアしている。 急に立ち止まる人は足がつっている。 しかし、自分自身もその瀬戸際の状況にあり、気にしている余裕など全くなかった。 この間の10キロが私にとって一番苦しかったかもしれない。 リタイアという文字が重くのしかかっていた。 苦しみもがきながらようやく60キロ地点である第二チェックポイントの宇佐に到着。 ペースも大幅にダウン。夜中の2時32分だった。 休憩所に入り腰を下ろそうとしたその瞬間、「ん?」足が硬直してしゃがめない。 「これはヤバイ」と直感。倒れるように腰を下ろす。リタイアする人のために大型バスが4台も控えている。 当然リタイアも考えたが、ここまでくれば意地も出てくる。 足も体も普通でないが、動かないわけではない。 300円の肉うどんを食べ元気を取り戻し、30分の休憩の後また出発。 |
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夜中は満点の星空のもと、100キロウォーク参加者たちが全員安全の為に背中につけている、発光点滅機の赤い光の列を眺め、黙々と歩く。寒い。 用意していたタイツとヤッケがとても重宝した。気がつけばあたりが明るくなってきた。 朝焼けが最高に美しい。 俺は何故こんな馬鹿らしいことをやって苦しんでいるのか?笑いが込み上げてくる。 77キロ地点から七曲という急な坂道の難所が突然に立ちはだかる。 上り坂もきつかったが、長い下り坂の方が何倍もきつかった。 そして85キロ地点である第三チェックポイントの日出に朝の8時45分到着。 もう普通の体ではない。 でもあと15キロ。歩くしかない。 気持ちが折れそうなときに聞こうと温存していたウォークマンを取り出し、ゴールを目指して歩く。 辛そうに歩く人、足を引きずって歩く人、徹夜で歩き続け半分意識朦朧の人。 そんな必死な人を見ていると自分も負けるわけにはいかない。 ゴールは別府駅近くの海門寺公園。既にゴールをした人たちが疲れきって寝転んでいる。 応援で駆けつけている家族や友人、そしてスタッフ皆さんが一人ひとりのゴールに検討を称え、惜しみない拍手を贈ってくれる。 ゴールテープを切るときは、「何も言えねー」と言うほど最高の瞬間だった。 完歩の賞状とバッチを頂き、感無量。 |
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しばらく公園で休憩していたが、喜びの場所を、後ろ髪を引かれる気持ちで・・・、足を引きずりながらソニックに乗った。 想像を超えた苦しいウォーキングではあったが、ゴールした達成感が大きく心に残った。 無責任に人には勧めないが、私にとっては挑戦してみる価値のある100キロウォークだった。 来年の参加は・・・?????・・である。 尚、大会詳細(ゴール地点等)は、変更がありますので、ご自分でよく確認の上ご参加ください。 100キロウォークタイム 22時間29分で 完歩しました。 訪問ありがとうございました。 HOMEへ (九州を中心に、登山を楽しんでいます。よろしくお願い致します。) |